2012年05月23日
スチームトラップが原因でおこる弊害の要因は2つあります。
要因(1): ドレンが滞留して引き起こすトラブル
要因(2): 蒸気が漏れて引き起こすトラブル
最初にご紹介させていただく現象として、
要因(1)の“ドレンが滞留して引き起こすトラブル”の中でも、非常に多くのお客様のもとで確認される『ウォーターハンマー』という現象を取り上げていきたいと思います。(要因(2)に関しては後日ご紹介)
↑ ◇ウォーターハンマー 実験動画 中央の再生ボタンをクリック◇
こちらの映像がウォーターハンマーという現象です。弊社内にて再現してみました。
先回にも少し触れましたが蒸気使用時に大きな音や振動を伴う現象をウォーターハンマーといいます。
このウォーターハンマー現象は配管及び支持金物や蒸気設備などの破損、寿命の低下の原因になります。
では、なぜこのような現象が起こるのでしょうか?以下で具体的に説明していきます。
ウォーターハンマーの起きる原因は?
蒸気は冷えると当然、水に戻りドレンとなります。
そのため蒸気管路には液体と気体が同一管内に同時に流れることとなります。
液体と気体は流れるスピードが違うため(液体は通常2m/sec、気体は30m/sec程度の速度)、管底に溜まっているドレンが気体に押される形で波を発生させます。
このドレンの波が徐々に大きくなり、最終的にはドレンの壁が蒸気に押され継手等に衝突して、大きな音と衝撃を発生させるのです。
特に月曜日など仕事始めは蒸気配管内にドレンとして水が溜まってるため発生しやすく、バルブを開けるときには注意が必要です。
※上記のようなイメージでウォーターハンマー現象は起きています。
このウォーターハンマー現象は、蒸気配管の施工方法を的確に行われないと必ず発生するため、不具合事例も非常に多く、ご存知の方も多いのではないでしょうか?
以上が一般的に広く認知されているウォーターハンマーの原因ですが、蒸気自体が急激に冷やされることによっても、ウォーターハンマーは発生するということをご存知ですか?
蒸気は冷えるとドレン化します。蒸気とドレンの比体積差は1640倍です。蒸気は冷たいドレンに触れると一気に凝縮して蒸気体積がほぼゼロになります。
この凝縮過程で今まで蒸気で充満していた空間は一気に真空状態になります。この真空部分に向かって一気にドレンが押し寄せドレン同士がぶつかり合うことによりウォーターハンマーが発生します。
『比例制御している空調用の熱交換器が定期的に破損してしまう。』
このようなことに心当たりはありませんか?
この現象は水質によることも多くありますが、実は先ほどの蒸気の急速冷却によって発生するウォーターハンマーが原因である可能性があります。
この現象は一般的に「ストール現象」と呼ばれています。
これは身近に発生しておりますが、間違った原因として処理され、結果的に改善できずに放置されていることが多い現象です。
次回は身近にありながら意外と知られていない、この『ストール現象』についてお話させていただきます。
尚、弊社省ルームにて今回のウォーターハンマーの再現を始めとする蒸気設備の実機を、見て体感して頂けます。お近くにお越しの際は、是非お立ち寄りください。
この記事に関してのご意見、ご質問等ございましたら、
GKC担当、永井までお気軽にお問合せ下さい。