2012年09月25日
今回のテーマは「コンプレッサー(機器)のメンテナンス」です。
最近では非常に多くの省エネ機器が各メーカーから販売されています。コンプレッサーも例外ではなく省エネ性に優れた機器が各メーカーより販売されています。
しかしながら、
“いかに優れた性能や省エネ性を持った機器でも、使用したその日から性能劣化が始まる”
という事が当たり前の話でもありますが、機器物の特徴としていう事ができます。
究極のメンテナンスは壊れたら交換する事と言われていますが、特にコンプレッサーは工場の心臓的な機器の為、省エネ性や高性能を維持する為には適正なメンテナンスが欠かせないと考えております。
弊社では“省エネ”をキーワードとしていろいろなご提案をさせて頂いておりますが、では“メンテナンス”と“省エネ”とはどうつながるのでしょうか?
この辺りを観点に今回はお話させて頂きます。
皆さんは“コンプレッサー(エアー設備)の省エネ方法は何がありますか”と言われたら、どの様な方法を思いつきますか?
(1) エアー漏れの削減
(2) 吐出圧力の低圧化
(3) 吸気温度を低下させる
(4) 低圧損の機器(バルブ、カプラー等)の採用
(5) コンプレッサーの台数制御(複数設置時)・・・・・・etc
いろいろあげられると思います。
仮に(1)〜(5)の省エネ手法を実践してエアー設備全体として30%の省エネ効果を得られたとします。
((1)〜(5)の省エネ手法の導入:30%)×コンプレッサー能力(100%)
=省エネ効果(30%)
ただし先にも述べたようにコンプレッサーは適正なメンテナンスを怠ると性能が劣化します。
メンテナンスを行わず放置したとして10%程度能力が低下したとすると
((1)〜(5)の省エネ手法の導入:30%)×コンプレッサー能力(90%)
=省エネ効果(27%)
以上のように折角行った省エネ効果がメンテナンスを怠ることにより十分な効果が出なくなります。
この様な事を考えると様々な省エネ手法も機器の使用状態で全体設備の省エネ効果が非常に変わる場合もありますので“適正なメンテナンス”も重要な省エネ手法になると考えています。
では、具体的に適正メンテナンスの1つを弊社スマートファクトリーショールームでの実験値を交えてご紹介します。
よく省エネ手法の1つで、
“吸込み抵抗を200mmAq低下させることで約1%の省エネ効果が得られる”
という事例がありますが皆さんこれ何の事だかわかりますか??
ズバリ!これ、コンプレッサーの吸込みフィルターの事なんですね。
コンプレッサーとは大気(周囲空気)を本体内に吸い込んで、機械的に圧縮(一般的に約0.7MPa)、送り出す機械のことをいうのですが、雰囲気の中に含まれている砂や埃などが吸い込まれ、圧縮室内に入り込むと不具合を起こしてしまいます。これを事前に処理する為に吸込みフィルターはつけられています。
そのため、コンプレッサーが運転すればするほど、また屋外に設置してある等、雰囲気環境が悪いほどこのフィルターに汚れが詰まってくるのです。
逆の言い方をすれば、運転すればするほどこの吸込み抵抗が徐々に大きくなっていくという事です。参考までに某コンプレッサーの吸込みフィルター交換前後の写真を添付しておきます。
今回の実験では200mmAqの増加は数値的に難しい為、吸込みフィルターに一定の抵抗(スポンジで詰め物)をつけてみてどのくらい性能が変わるかを測定してみました。
(クリックにて再生)
通常状態での測定
吐出量:900NL/min(0.9m3/min)
総電力:8.7kw
抵抗をつけての測定
吐出量:560NL/min(0.56m3/min)(約38%減少)
総電力:6.6kw(約24%減少)
これを比動力[kw/m3](比動力はコンプレッサーの省エネを管理する重要な数値ですがこれはまた別の機会でご紹介します)で表すと、
通常状態 9.6kw/m3/min
異常状態 11.7kw/m3/min ※総電力÷吐出量
となり吸込みフィルターが汚れ等で詰まってくるだけで同じ1m3のエアーをつくるのに18%もエネルギーが増加してしまいます。
吸込みフィルターを清掃(交換)することでこのエネルギーの無駄を削減できますので、是非一度皆様のコンプレッサーを確認してみてはいかがですか。
● お知らせ ●
10月23日(火)当社ショールームにおきまして、テーマ「エアー機器の日常管理」と題してセミナーを開催致します。
様々な場所で用いられている空圧設備機器のメンテナンスの仕方が分からない、どの様な観点でメンテナンスしていけばよいのか検討中とのお悩みをお持ちではないでしょうか?
このような疑問を分かりやすく解説するセミナーとなります。
是非ご参加くださいませ。
さて、次回第3回のキーワードは「Air is Money」です。
お楽しみに。
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投稿者
技術営業G 永井