2012年04月23日
生産活動において、身近に利用されているものの一つとして『蒸気』があります。しかしながら、蒸気というものは漏れ、破損、保全工事が多い等、状態にムラがあり、信頼性に乏しいものと感じられている方は意外と多いのではないでしょうか?
蒸気管路において、健全な生産活動の妨げになる要因として、蒸気を使用するにあたり発生する『蒸気ドレン』が非常に多く関わってきます。
言い換えれば蒸気管路において発生するドレンをいかに迅速にかつ確実に外部へ排出できるかどうか、これが蒸気使用設備の生産効率の向上におけるカギであると断言できます。
このドレンを排出するという重要な働きをする機構が『スチームトラップ』です。
第1回目のテーマとして当社が得意としている蒸気設備の中の『スチームトラップ』に焦点をあて、トラブル事例を基に生産現場の改善を全4回に分けて考えていきたいと思います。
早速トラブル事例を紹介したいところですが、その前にまずは『スチームトラップ』とはそもそもどういう機器なのか?ということをある程度知っておく必要があります。
なかにはもう十分ご理解されている方々もお見えになると思いますが、おさらいという形で少々お付き合い下さい。
(1)トラップとは
トラップ=罠(わな)英語でわなという意味です。
罠を仕掛けてドレンを排除するそれがスチームトラップの語源です。
(2)スチームトラップの機能には3つあります。
1.蒸気ドレンを素早く排出する機能
2.蒸気を漏らさない機能
3.不凝縮ガス(エアー炭酸ガス)を抜く機能
(3)トラップの種類は
トラップの種類は世界中で3000種類あるといわれております。
1.メカニカル式(フロート式、バケット式)
2.サーモダイナミック式(ディスク式)
3.サーモスタティック式(温調式)
冒頭の写真は当社省ルームにて実験用の各種スチームトラップです、上からフリーフロート式、バケット式、ディスク式、温調式トラップです。
これを分解してみると構造は下記のようになっています。
トラップも使用用途によって以下のような特性がありますので使用する場所によって使い分けを行うと効率よく使用することができます。
(クリックで拡大)
いかがでしょうか?少なからずトラップというものがご理解いただけたでしょうか?
では次月より、いよいよ本題に入っていきたいと思います。
お客様の現場で以下のような現象はありませんか?
《蒸気使用時大きな音や振動が発生する》
これは「ウォーターハンマー」という現象の典型的な例です、ひどいものになると、建屋がゆれて恐怖感を感じてしまうケースもあります。
次回はこの「ウォーターハンマー」という現象を中心に紹介したいと思います。
尚、今回ご説明しました蒸気トラップの実物を弊社スマートファクトリー省ルームにて展示してあります。近くにお立ち寄りの際はお気軽にお尋ねください。
この記事に関してのご意見、ご質問等がありましたらGKC担当、永井までお問い合わせください。
HIC豊安工業株式会社のブログです。
投稿者
技術営業G 永井