2015年10月05日
みなさんこんにちは。
今月の技術コーナーは現場改善委員会 第2回をお届けいたします。
このコーナーでは工場における、生産や保全業務の効率向上・安定生産に着目し、
さまざまな角度から現場の改善を考えていきます。
第2回のテーマは、『 配管漏れ 』についてお送り致します。
配管漏れは給水管漏れなどによる作業場や製品への環境、品質影響、
蒸気やエアー漏れによるエネルギーロスなど製造現場において
非常に身近な存在です。
そのような配管漏れを分類すると主に2種類に大別できます。
1つ目は「安定生産」に影響を及ぼす漏れ。
もう1つは「生産効率」に影響を及ぼす漏れ です。
基本的には「安定生産」に影響を及ぼす漏れは生産阻害や品質不良などの
弊害に直結するため、発生した場合は補修の緊急性が求められます。
逆に「生産効率」に影響を及ぼす漏れは無駄なエネルギーロスや設備投資に
繋がって来るのですがラインの稼働自体には影響は出難いため、
いかに見つける事ができるかがポイントとなってきます。
以上の事からそれぞれ「見える漏れ」、「見えない漏れ」とも表現できます。
しかしながら、いずれの漏れも直接的、間接的な違いはありますが
健全な生産の妨げになっていることには違いがありません。
そのため、いかに配管漏れを抑制していくかが重要だと言えます。
最終的な目標としては
「見える漏れ」に関しては先行管理による計画的な補修、更新であり
「見えない漏れ」に関しては管理基準の設定と定期点検、補修となるのですが、
実施していくためにはある程度の準備が必要となってきます。
「見える漏れ」は予防保全を行い予期せぬ突発修理、設備停止のリスクを
抑制することから始めましょう。
そのためにもまずは漏れ情報の収集を行いリスクマップを作成します。
「漏れた時リスクの高い場所、リスクの高い配管系統の洗い出し」と
「漏れそうな配管、漏れの痕跡のある場所のプロット」を行い、
漏れリスクの高い部分から重点的に、漏れる前、あるいは漏れが大きくなる前に
先行修理を計画、実施していきます。
また、修理した後は、修理履歴としてマップに記録しておくことによって将来的な配管更新範囲の優先検討に活用していきます。
次に「見えない漏れ」に関して有効な方法はやはり測定計器を使用した
「漏れ量の見える化」が挙げられます。
流量計や電力計を設置し休日やライン停止時の数値を監視するだけで概ねの漏れの現状が見えてきます。
現状の漏れ状況を把握できたならば実際に工場を廻り漏れ部の特定、
マーキングを行い定期的に補修していきます。
またこの時、流量計などの数値を記録し、ある一定の段階で基準値を設定、
監視することで、機器の異常や経年劣化などにより数値が上がってきた時に、
基準値を目標に再度漏れ調査・補修を実施するといった定期的な保全サイクルが
可能となり、見えない漏れに対し継続的な維持管理が出来るようになります。
配管の漏れは抑制はできても経年劣化の都合上、どうしても“0”にすることは
できません。
以上の方法を参考に漏れの先行管理をご検討してみてはいかがでしょうか。
2015年05月20日
みなさんこんにちは。
月変わりでお届けする技術系新コーナーの第2弾として、
題して “現場改善委員会” 第1回をお届けいたします。
ここでは工場における、生産や保全業務の効率向上、安定生産に着目し、
さまざまな角度から現場の改善を考えていこうというコーナーです。
第1回のテーマは配管劣化についてお送り致します。
ポンプやコンプレッサー、ボイラーなど原動機器は使用するうちに老朽化していき、いずれは更新時期となります。
当然ながらそれらを繋ぐ配管も劣化していくのですが、配管の劣化は機器類に比べ、いきなり大きなトラブルに繋がることはありません。
しかし、じわじわと、そして確実に生産における安定供給をむしばんでいき、ある日突然無視できない甚大な問題を引き起こす可能性があります。
そして、一旦問題が起こると、機器のように単純に交換とはいかないケースも多いため、復旧改善に突発的な多額の費用が発生するだけでなく、現状把握を含め長期にわたる復旧時間が必要となる恐れもあります。
そのような事態が起きないためにも、中・長期的に配管の更新計画をたてて、
こまめに、無理なく実施していくことが大切だと考えます。
そしてその第一歩が配管劣化の兆候を見極めることだと言えます。
こんな点に心当たりはありませんか?
1.細かい漏れ修理が増えてきた。
特に写真のような簡易の漏れ修理継手をよく使っていないでしょうか?
このような配管は、内面腐食が進行している恐れがあります。
このまま内面腐食が進むと減肉による管材強度の低下から最悪配管が折れて甚大な漏れ事故につながる可能性があります。
また、漏れにつながらないとしても内面は錆などにより機器への異物混入や、飲み水配管などの場合は衛生的にも良くありません。
2.生産量や人が増えていないのに使用量が増加した。
埋設管など隠ぺい部での外面腐食が進行している恐れがあります。
弊害としては、基本的には内面腐食と同様ですが、最大の問題点は発見しづらいため知らないうちに漏えい汚染や漏えい損失につながっている可能性があるということです。
3.必要な流量が流れなくなった・・・。
設備や機器に問題が無いようならば
堆積物による管路の閉塞が進行している恐れがあります。
管路の安定供給が妨げられ、生産効率の低下に繋がります。
例えば写真(↑)の配管の場合、50A分の流量が必要な系統に対し、25Aの配管を繋いでいる事と同等の状態になっていると言えます。
搬送機器への負荷も増えるので場合によっては、エネルギーロスに繋がっている可能性もあります。
4.配管の外観に異常がみられる。
鋼管の表面への浮き錆も問題ですが、ここでは特に塩ビ管に対して注意が必要です。
一般的には塩ビ管は腐食が無いので大丈夫と考えられがちですが、化成製品特有の劣化が存在します。
代表的な例が紫外線などによる耐光劣化、白化現象です。
これは材質そのものが硬化し、非常に割れやすくなってしまいます。
分かりやすいイメージでいうと、屋外で長期間放置された樹脂製品がボロボロになってしまうような感じです。
もう一つが特に薬液配管に発生する、しみだしという現象です。
一見、結露にも見えますが実際には管材の一部成分が管内の薬液により溶けてしまいスポンジ状となり表面にしみだしてきている現象です。基本的には管材選定におけるミスマッチで発生します。
薬液管路に発生する特性上、少量の漏れでも大きな事故につながる可能性があります。
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以上、配管劣化における代表的な兆候をご紹介させていただきました。
もし兆候がみられる管路があるようならば、補修頻度、系統の重要度、使用流体、周囲状況(人通りが多い、精密設備があるなど)から総合的に検討し優先順位を定め、更新計画を立てていきます。
管材・環境・用途によって幅はありますが、一般的に配管の更新時期は15~30年と言われています。
突発的な修理で対応を続けても漏れが多発している管路は近い将来、更新せざるを得ない時期が必ず訪れます。
また、修理を続けた結果、最終的に更新となってしまった場合、それまでの修理費が結局無駄になってしまいます。
配管は水や、蒸気、エアーなど、さまざまな流体あるいはエネルギーの搬送を目的としています。
いうならば、生産におけるライフラインであり、体でいう血管のようなものであると言え、地味ではありますが、とても重要なものと言えます。
そのような配管の状況を今一度注目、確認をしてみてはいかがでしょうか?
次回は月替わりでお届けする技術系新コーナーの最終となる第3弾を予定しています。来月の新コーナー及び、次回の現場改善委員会をお楽しみに!
HIC豊安工業株式会社のブログです。