2015年03月20日
コンプレッサーは本体にあらかじめ備わっている制御方式として、
アンローダー方式 圧力スイッチ方式 INV制御方式 などの
流体制御機能があり、
その他にも、台数制御盤からの運転指令で動く 台数制御方式 などを用い
使用状況に合わせたエアーの供給を行うための運転、停止を繰り返しています。
ここではコンプレッサーの中でも水冷式のコンプレッサーに焦点をあて、
省エネのポイントをご紹介させて頂きます。
※水冷式とは運転時に本体内部のインタークーラーやケーシングに冷却水を流し、
潤滑油や潤滑水を間接的に冷却する方式です。
では、水冷式コンプレッサーによくある現状とは・・・?
運転時に限らず停止時にも冷却水を流してしまっていることです。
つまり、
不必要なところに冷却水を送り続けていることで無駄な動力を使用している
と言えます。
そこでコンプレッサー本体の構造、仕組みを確認した上で無駄に働いている動力が無いかを見極め、あれば止める。エアーにおける省エネと同様、冷却水においても“必要な時に必要な分だけ必要な個所へ送る”ということが大切だと考えます。
以上のことを踏まえ、今回の改善のご提案についてご説明させて頂きます。
一言でまとめると
『使用しないコンプレッサーの冷却水バルブは閉めましょう』
ということで
冷却水配管へのモーターバルブ取付 を推奨させて頂きます。
予想される効果については以下にまとめさせて頂きました。
ここからは具体的にシミュレーションにてご説明させて頂きます。
条件は以下の通りです。
冷却水の必要流量は1台あたり200L/minということですが、事例の冷却設備では圧力センサー、インバーター等での制御はされていないため、管内送水圧約0.3MPaより一系統あたりに流れている実流量は約285L/min位と予想されます。
コンプレッサーは常時2台運転ですが、現状は冷却水配管に自動開閉制御がかかっていないのでコンプレッサー3台分の600L/min、実流量として約855L/minが常時流れ続けることになります。
この時のポンプ電力量は約7.33Kw/hとなります。
ここで今回のご提案であるモーターバルブによる
自動開閉制御をかけた場合と比較してみます。
1台あたりの条件は変わりません。
実流量は3台分流れているケースより1台分バルブを閉めることにより若干、
系統ごとへの流量が上がり、コンプレッサー1台あたり300L/minになると予想されます。
(※これは先ほど説明した通り圧力センサー、インバータ制御が無いためです。)
コンプレッサーの運転は最大2台運転、1台予備機であるため、
コンプレッサーへの必要流量は1台減り400L/minとなります。
実流量としては600L/minとなり、この時のポンプ電力量は6.3Kwとなります。
つまり、現状から改善して7.33Kw-6.3Kwとなり、約1.03Kwの省エネに繋がると予想されます。
以下、削減効果及び工事費などを加味した投資回収予測は以下の通りです。
~まとめ~
・使用していないバルブを閉じることによって流量を抑えることは
ポンプの仕事量の減少に繋がるため省エネになります。
・コンプレッサーの稼働率によってモーターバルブが運転、停止と
連動するため効果が期待できます。
・他にもバルブによる必要流量調整やポンプのインバーター制御と
組み合わせることでさらなる省エネも可能です。
工場におけるバルブの開閉は家庭においてのスイッチの入切と同じで、
未使用時に閉めるだけで省エネになります。
身近で小さな改善から始めてみてはいかがでしょうか。
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