2013年01月25日
皆さんこんにちは。
今月からは全3回でポンプの省エネをテーマに、その手法と落とし穴について考えてみたいと思います。
今回は初回となりますので、まずはポンプの原理的な説明を少しした上でインバーターによる省エネ事例を1つご紹介します。
ポンプの定義は一般的に
”必要とされる流体を目的とされる場所(高さ)まで、必要とされる力(圧力)で送り込む機械”と言われます。
エネルギー的に見れば
電気エネルギーを圧力エネルギー(揚程)と速度エネルギー(流量)に変換する機械といえます。
ポンプの場合、省エネのポイントは
回転数と流量は比例関係にある。(流量を半分にすると回転数は半分になる)
揚程は流量の2乗に比例する。(流量を半分にすると揚程は1/4になる)
消費電力は流量の3乗に比例する。(流量を半分にすると消費電力は
1/8になる)
という事です。
よくこんなことを耳にします。
・このポンプって今どのくらいの流量がでているの?
・このポンプは今どのくらいの性能なの? ・・・などです。
この答えって意外と簡単に分かるんですがご存知ですか?
(クリックにて拡大)
このように圧力計から分かる情報は非常に重要です。しかも流量計や電力計などと比較すると非常に安価に設置ができますが、実際には圧力計の無いポンプをよく見ます。
この機会にぜひ設置してみてはいかがでしょうか。
では、ここからは実例を交えてポンプの省エネを考えていきたいと思います。
以下の様な設備があります。
(クリックにて拡大)
冒頭でも説明しましたが、ポンプは電気エネルギーを流量と揚程の運動エネルギーに変換する機械の事です。ここでは必要な流量にするためにバルブを調整して流量を減少しましたが、この時のポンプの吐出圧力はどのように変化したのでしょうか。
全開時0.2MPaで流量調整時は0.29MPaとなり増加しております。
これは、流量を絞ったためにその減少分が揚程(圧力)に変化してしまったということです。
確かに必要な流量だけ流れるよう調整したのですが、その分揚程を高くする事にエネルギーが使用されてしまい、結果そこまでの消費電力の違いはなかったのです。
ここで登場するのがインバーターとなります。
一般的に直流を交流に変換する装置をインバーターというのですが、説明すると長くなってしまうため、ポンプにおいてはその回転数を変化させる装置だと思ってください。
このインバーターを利用して回転数を抑える、つまり、運動エネルギーを抑えるという事です。
結果として電気エネルギー(消費電力)が減少して省エネルギーにつながることになります。
送水設備は以下のような理由で導入段階で安全率を大きく見る傾向があり、実際設備が稼働すると思った以上に過大な能力で運転している場合があるので一度見直してみる事も重要です。
◇安全率を大きく見る理由◇
(1) 本当の必要流量がはっきりとわからない場合が多い
(2) 設備稼働後、様々な設備の追加がある可能性があるため、
必要能力+αをみる傾向がある
(3) 配管や設備の経年劣化に伴い、いわゆる汚れなどが堆積して損失が
増加し能力が減少する傾向が顕著にみられるため、あらかじめ大きい
能力選定をする
また、近年ではこのインバーター本体が比較的安価で入手できるようになりました。
上記の理由により特に冷却水系統で連続運転しているポンプなどは少し回転数を低下させてやることによって思わぬ省エネ効果が期待できる場合があります。
では、インバーターを利用して回転数制御をした時にどのくらい電力が低下するかを見てみましょう。
本来ならば流量計や電力計等の“見える化”アイテムは必要となりますが、まずはポンプの吐出圧力を確認していただき、現状どのような運転状況にあるかを把握する事によって、エネルギーの削減余地があるかどうか確認してみてはいかがでしょうか。
最後に1つ、
来る2月27日に弊社ショールームにて今回の内容を元にしたセミナーを開催致します。ご都合のつく方は是非参加して頂きインバーターの効果の程を体感してください。
次回メルマガはこのインバーター導入にあたっての注意事項のお話となります。
HIC豊安工業株式会社のブログです。
投稿者
技術営業G 永井